個展「ランダムエンカウント」
葭村は、都市や公共空間に潜む痕跡を題材に、木彫を用いた美術表現を行っている。その中でも特に惹かれてきたのが、グラフィティだ。グラフィティは都市の隙間を縫って生き延びるものであり、器物損壊という違法行為である一方、いつの間にか公共空間の一部として存在してしまっている。その矛盾を抱えながらも、多くのファンが存在し、私もその一人である。描かれたグラフィティ自体に罪はなく、それらはやがて儚く消えていく。その刹那的な存在に、私は「都市の記憶としての痕跡」を感じ、木彫作品として表現している。
本作は、葭村がGoogle Maps のストリートビューで都市を散策するところから始まる。Google のカメラが偶然捉えた、誰かによる落書きを引用し、それを木彫へと置き換えていく。デジタル上で歪んだグラフィティを物質として立ち上げることで、実体のない脆弱な存在に現実の形を与える試みだ。
このシリーズには以前から名前があったが、少しずつ形を変えてきた。本展に合わせて、その名称を「ランダムエンカウント / RANDOM ENCOUNTER」とする。ランダムエンカウントとは、RPG ゲームにおける戦闘システムの一種で、フィールド画面でキャラクターが移動中、一定の確率で敵と遭遇し戦闘が発生する方式のことを指す。「遭遇する」という意味の英単語 “encounter” に由来する和製英語である。
会期中のイベントでは、「ランダムエンカウント / RANDOM ENCOUNTER」シリーズの出発点となった作品や、現在の形態に至るまでの流れ、そして制作を通じて起こった出来事などについてお話しする予定である。
- 素材:楠木、クレート、二次元コード
- 展覧会情報:2025年 / CAPSULE(東京) / 個展「 ランダムエンカウント 」展示作品
- 撮影:葭村太一












